大信州槽場詰め&利き酒会に行ってきました


2008年1月22日、信州を(日本を)代表する酒蔵である大信州酒造さんの槽場詰め&利き酒会に参加させて頂きました。本当に良い体験ができましたので、ホームページでお知らせしたいと思います。また田中社長様はじめ、下原大杜氏、部長さん、そして蔵の皆様には大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

1、酒蔵の玄関、杉玉(酒琳)が新酒の搾りが始まったことを告げています。

2、酒米の倉庫で、参加者に原料と精米が酒の要である、と語りかける田中社長。
3、高性能精米機 50%の扁平精米に2日をかける。
4、精米された酒米 酒の命 本当にきれいに輝いています。

5、参加者に挨拶する小林杜氏(左)と下原大杜氏 大杜氏は91歳、75年間日本の酒文化を造りあげてきた名杜氏です。
6、蒸された酒米を冷やす 四角のふたの下には仕込みタンクが
7、酒母室のタンクから、今、純米吟醸仕込み37号の酒母が蔵人によって汲み出されます。
8、酒母 クリーム状の液体が発酵し、シーッと音がする。その芳香はたとえようがない。
101112

9、杜氏が酒母に合わせる水の温度をヒーターに当てながら慎重に測る。
10、酒母を運ぶ杜氏 何かとても楽しげに仕事をされていました。
11仕込み用水タンク 信州の名湧水が水質に応じて使われます。
12、仕込み終わり、カーテンで仕切られたタンクの前で酒造りを語る田中社長。
13141516
13、蔵の裏には松尾様の社が
14、手作業で黙々と4号瓶に純米吟醸酒を詰める蔵人の皆さん。休憩時は笑いが絶えない。
15、槽場詰めの作業をする参加者の方々。この時の純吟生酒は、酒造部長さんが「今までで一番できがいいかも。」と言うほどの極旨。
16、槽場詰めの参加者を横目に、何やらニヤニヤヒソヒソ酒談義を交わす大杜氏と黒姫の酒屋のダンナ。
171819
17、そして利き酒コーナー 13種の新酒が並びました。僕は圧倒されて、ギブアップ。
18、利き酒をした倉庫の奥には、仕込み終わった純米吟醸のタンクが熟成の時をゆっくり待っていました。
19、玄関まで送ってくださった大杜氏さんと。僕はこの人こそ国の宝だ、と思います。

感想その他

大信州は、今では僕の酒の基準になっています。今回、初めて純吟造りの真っ最中というとんでもない状況の酒蔵を目の当たりにして、ますます日本酒の奥深さ、神秘さ、そして日本の風土に育まれてきた“味”の凄さを実感しました。
・米 大信州酒造では、長野産の美山錦、ひとごこち、そして幻の酒米金紋錦が多く使われています。そのほとんどが熱心な農家さんとの契約栽培です。3割弱ほどは兵庫のヤマダニシキも使われていますが、普通酒のみです。始めに仕込むヤマダニシキは精米が追いつかないため、外部で精米されますが、他はすべて自家精米です。通常の3倍もの時間をかけて、低温のまま、きれいに米の形のまま偏平に精米されます。外部精米と比べると、外部のものはごつごつした球状で、全く異なりました。
 酒米は、やはりヤマダニシキが横綱。でも「酒造りはその土地土地の伝統文化であり、その土地の風土で、その土地の米と水を使って仕込むことで、本当の信州の酒が生まれると思う。」と田中社長は述べておられました。
・酵母 以前は国税局の管理で、国が酒酵母を培養し、酒蔵に下ろしていましたが、現在は民営化され、酵母の培養だけは民間で行われています。大信州の酵母は、蔵の奥の厳重に管理された部屋で、蔵人によって大切に培養されていました。
・仕込み 大信州は、その多くが純米吟醸酒。すべて低温でぎりぎりまで時間をかけて熟成されています。最近は日本酒度の高い、超辛口純米吟醸が人気だそうですが、よく苦情の電話がかかってくるとのこと。「辛くないじゃないか!」と。酒造部長さんは、「俺はそれを褒め言葉でもある、と思ってるんだよね。」と苦笑いしておられました。つまり、ただ日本酒を辛くするなら、発酵を進めればできる。しかしその分旨みは酵母に食べられて減ってしまう。酒の持つたくさんの旨みを残して辛口に発酵させると、旨みが辛味を凌駕し、感じにくくしてしまうのだそうです。
・和 和醸良酒とよく言われますが、大信州の蔵人さんたちは大杜氏さん以下本当に仲良しで驚きです。社長さんは、「私はどちらかというと良酒和醸ではないかと思う。」とニコニコと話して下さいました。

ロッヂでは、この日搾られた純吟35号など、いくつか取り寄せておりますので、興味のおありの方はお声掛けくださいませ。
ちなみに、利き酒に登場したのは、大辛口大吟醸、超辛口純米吟醸、美山錦番外純米吟醸、特吟しぼりたて、蔵囲いしぼりたて、大吟にごり、純吟にごり、吟にごり、純吟ひとごこち(3農家3種)、金紋錦仕込み22号純米吟醸、金紋錦・翁下原2008純米大吟醸の13種でした。にごりのあたりで舌も頭もぴりぴりとしてKOされましたが、最後の2本の芳しい味わいで、また目が覚めました。ほんとうに日本酒は凄い。みなさん(おいしい)日本酒を飲みましょう。